2017_06
26
(Mon)17:53

清家雪子 『月に吠えらんねえ』

つき

つき2



電子書籍で2巻まで読了。
(1巻は無料で読めます)

これ、異様に面白いです!

詩だけではなく色々な資料を読み込み、
湧いてきた自在なイメージを漫画化している。
凄いです。

萩原朔太郎は高校生の頃読んで好きだった。
とにかく天才。
詩の内容にかかわらず、何故か自分の中では
知的で冷徹なイメージだったので、
朔くんにはびっくり。
むしろ白さんの方がイメージに近い。

北原白秋は皆川博子の小説によく引用されていて、
そこからあの絢爛たる詩を知った。

私が一番「詩人」というイメージを抱いていたのは
中原中也だったので、チューヤにもびっくりです。
ミッチーの方が近い。

1冊を咀嚼するのにかなり時間がかかる。
7巻まで出ているので、ちょっとずつ読んでいこう。




以前私が究極の詩だと思ったのは、
西脇順三郎の「天気」。
あまりの衝撃に、しばらく詩を読むのを止めたくらい。


天気

(覆された宝石)のような朝
何人か戸口にて誰かとささやく
それは神の生誕の日

(『Ambarvalia』より)



こうして横書きだとちょっと違和感があるかな。
やはり紙の本の1ページの中程に、
この三行が縦書きで載っているのがいいのです。

言葉自体、字面が美しいんですよね。




宮沢賢治の「札幌市」も好き。
(こっちのバージョンが好きです)


札幌市

 遠くなだれる灰光と
 歪んだ町の広場の砂に
 わたくしはかなしさを
 青い神話にしてまきちらしたけれども
 小鳥らはそれを啄まなかった




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2017_05
09
(Tue)12:18

『殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実』

ぞでぃあっく

ゲーリー・L・スチュワート、スーザン・ムスタファ
『殺人鬼ゾディアック――犯罪史上最悪の猟奇事件、その隠された真実』
読了。
読み応えがありました。

自分を捨てた父親を探したら殺人鬼だった、というのが
ノンフィクションだということに驚く。

赤ん坊の時に捨てられ養父母に育てられたゲーリー。
成人後に実母と再会。
実父のことを調べていくうち、ゾディアック事件の犯人ではないかと気づく。

親戚や友人、捜査関係者から聞き取りを行い、
実父ヴァンの生い立ち、誘拐同然に14歳の実母と結婚し子供が生まれて捨てるまで、
ゾディアック事件の社会背景や経緯、
実父を犯人ではないかと疑って調べていく過程、
が丹念に描かれている。

実際にはまだヴァンが犯人だと確定されたわけではないようだが、
他の犯罪だけ見ても明らかにサイコパスで、犯人であってもおかしくはないと思う。

ゲーリーがここまで実父のことを調べ続けたのは
「捨てられた自分」という意識がずっと心に影を落としていたせいなのかも。
どんな父親でも「知りたい」という気持ちは執念に近い。

幸いなことに愛情深い養父母に出会い、育てられたゲーリー。
この本が養父に捧げられていて、それが救いだな、と思う。




この本を読んでいて一番に思い出したのが、
マイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』。
こちらは二人の男性を殺害し、その後自ら望んで銃殺刑に処された
犯罪者ゲイリー・ギルモアについて、
その末弟でありプロの音楽ライターでもあるマイケル・ギルモアが
記したノンフィクション。

しんぞうをつらぬかれて

この本で一番心に残っているのは、作者の長兄フランクのこと。
ゲイリーと同じような虐待を受け、母親からの愛情も受けられなかったのに、
犯罪に走ることもなく母親を看取り、その後は
成功した弟マイケルの邪魔をすまいと姿を見せなかったフランク。
そこに「善」を感じ、その心の深さと孤独に涙が溢れて止まらなかった。
この本はその兄フランクに捧げられている。
先日観た『スキーニー・ピート』のジョヴァンニ・リビシ主演で
テレビ映画化されていたらしいのだが未見。
何とか観られないかなあ。



2017_05
01
(Mon)11:40

ジョージ・R・R・マーティン 『タフの方舟』シリーズ

たふ1

たふ2


以前の記事 ジャック・ヴァンス『宇宙探偵マグナス・リドルフ』
へのコメントで教えていただいた「タフの方舟」シリーズ。
『タフの方舟1 禍つ星』
『タフの方舟2 天の果実』
を読みました。

とても面白かった!

何といっても猫愛に溢れているのがイイ(=^・^=)
(しかし猫の名前がfoolishnessとか酷いw)

『魔獣売ります』のような派手な話もいいし、
〈鋼鉄のウィドウ〉三部作の重厚さにも唸る。
惑星ス=ウスラムにおける「冷たい方程式」。
タフの方法しか解決策はないのに、トリー・ミューンはなぜ
そんなに迷うのか不思議に思う私は心の冷たい人間ですw

タフがあまりにも大きな力を持ってしまったので
シリーズとして続けるの難しかったのかな。
(解説によると作者は書きたい気持ちがあったようですが)

作者の他のシリーズはファンタジーのようなので
ちょっと苦手かもしれないなあ。
(物語世界に入っていくのが苦手なのです)



2016_06
17
(Fri)11:29

清水玲子『秘密―トップ・シークレット―』

秘密


映画の予告を見て面白そうだったので、
原作の漫画を検索してみると
いかにも少女漫画らしい端麗な画像がたくさん。
内容とのギャップの興味が湧き、読んでみることに。

全12巻を大人買い。
(といっても中古です(^^ゞ)
読み始めたら引き込まれてしまい、
気分が高揚して、最終巻まで一気読みでした。

そのへんのミステリよりよっぽど面白いわ~


読んでいて『多重人格探偵サイコ』を連想しました。
あっちは眼球に記憶装置があるんだったっけ。
ハマって、小説やドラマも見たなあ。
(ただ漫画の方は途中で読むのを中断したままですが)


『秘密―トップ・シークレット―』は
シリアルキラー、虐待、いじめ、と
内容は深刻で、悲惨だったりグロかったり。
救いのない結末の事件も多い。

特に子供絡みの事件は読んでいてつらいなあ…

ただ、少女と見紛うような美形キャラやBL風味が
読む時には救いだったりします。

どのエピソードも心に刺さるのですが、
4巻、ウィルスの話に出てくる、
電車内にいた老婆に憎悪に近い気持ちが湧く。
でももし自分だったら、と考えると、複雑な気持ちになる。
内容が深いです。

その中でも、7巻は
スケールの大きさ、仕掛けの複雑さ、結末の余韻、
どれをとっても素晴らしい出来でした。
苦い結末ではあるけれど、
話としてはこの捻じれ感がたまらなく面白い。

そして最終的に…
雪子先生の結婚相手の黒田って誰?(^^;)


実写化では、薪が生田斗真、青木が岡田将生ですかね。
う~ん、微妙かな…



2016_06
13
(Mon)12:52

ケイト・アトキンソン『世界が終わるわけではなく』

世界が終わるわけではなく


装丁と題名に惹かれて読んでみました。

ふわっと不思議で、シュールな世界。
なかなか魅力的な短編集でした。

リアルな人生の悲哀を描いていると思うと、
急に幻想的な展開になったり。
生と死もどこか連続していたり。

訳文も良かったけど、原書で読んだら
もっと楽しいんだろうなあ。